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自賠責保険と政府保障事業

加害者不明のひき逃げ事故や、法律に違反して自賠責保険(自賠責共済)契約を締結していない無保険者による事故、や泥棒運転されている車による事故の被害者は、自賠責保険からの損害の支払いがうけられないため、自動車損害賠償保障法にもとづき、政府が保証事業を行い、これらの事故による被害者の救済を行っています。


自賠責保険は、人身事故による被害者に対する損害賠償という性格を持ち、保険契約に基づき損害のてん補をするものですが、保障事業は、損害賠償として支払われるものではなく、一種の救済措置です。


したがって保障事業は、自賠責保険制度を補完するものであり、各種の保険制度(健康保険、労災保険等)によっても救済しきれない被害者のためにある最終的救済措置です。


政府保障事業への請求


(1)請求できる事故


a.ひき逃げ事故(加害者(賠償義務者)が不明)

b.無保険自動車による事故

c.泥棒運転者による事故

なお、bとcの場合、加害者が被害者に対して損害賠償をしない場合に限り、保障事業からてん補金を支払い、政府が加害者から回収することになります。


(2)法定限度額


保障事業からのてん補金の法定限度額は、自賠責保険の限度額と同一です。


(3)てん補限度額


保障事業は、各種保険制度によっても救済しきれない被害者に対する最終的救済措置であるので、被害者が損害賠償義務者から労働者災害補償保険法、その他政令(自賠法施行令21条)で定める法令に基づいて、損害のてん補に相当する給付を受けたとき、または受けられる場合は、その額に相当する部分は「救済措置」が済まされたものとして、保障事業てん補額の法定金額より控除され、法定金額までに余裕があれば、その範囲内で、残損害部分をてん補することになっています。


(4)過失相殺


自賠責保険では、被害者に重大な過失がある場合のみ、20%、30%、50%の減額を行いますが、保障事業では、てん補金支払い後、賠償責任者に求償する関係もあって、一般の損害賠償の場合と同じように、加害者、被害者双方の過失割合を認定したうえで、過失相殺を適用します。


また、自賠責保険では、減額の対象とならない好意同乗減額等もあり、認定については、東京地裁民事交通部「民事交通訴訟における過失相殺率等の認定基準」を原則として用い、任意保険と同様に行います。